寒さと異常

今年は...いやこの冬は異様に寒い。

ニュースでしきりに異常な寒さといわれ

ここぞとばかりに『今年必須の暖房家電』『冬を乗り切る防寒具』が売り出される。

 

私はテレビと窓の景色を交互に見比べ明日の出立時刻を考えていた。

 

そうするうちにある欲望が膨らみだした。

寒い夜に暖かい部屋でおでんを食べたいという欲求だ。

帰路にコンビニによって寒さを我慢して家でのんびり食べる。

こんな幸せなことはない。

 

気づけば暖かい部屋を抜け出し近所のコンビニを目指していた。

おかしな話である。

わざわざ暖を投げ出し寒さに身を当てるのだ。暖を獲得する喜びを得るために…

 

異常な気温に駆られた異常な行動。

だが、店に着くまでは自らの愚かさに私は気づかなかった。

 

店についた。店内に客は一人もおらず、店員が奥で品出しをしている。

こんな時におでんを取るよう言いつけるのは少し申し訳なさを感じたが、

目的を果たさず帰えるわけにはいかない。

 

できる限り穏やかに声を上げ店員を呼びだした。

夜勤特有のゆっくりとした動きでレジそばまで来た。

私は定番メニューの大根・玉子・こんにゃく+α の編成を企んでいた。

 

しかし、

店員の一言は

私の希望を打ち砕いた。

 

「今日おでんは終わりました」

 

そう、おでんは既に終わっていたのだ。

 

よく考えればこんな夜更けにおでんをわざわざ買いに来るほど奇なる人間はいない。

売れ残り必至の商品をわざわざつくる必要はない。

時刻は日が変わるか変わるまいかの瀬戸際だったため、中華まんやフライヤーもなかった。

 

私は目に入ったパックのつみれ汁を買いそそくさと家を目指した。

 

外の異常な寒さに負けないほどうす暗く極寒の台所でつみれ汁を湯煎する最中

私はこの記事を書くことを思い立った。